妊活を始める人がまず最初に始めるのが基礎体温ではないでしょうか? 排卵が起こると黄体ホルモンが分泌されます。この黄体ホルモンが体温を少しだけ上げる作用があり、そのわずかな差を見ているのが基礎体温です。 黄体ホルモンの体温上昇作用はわずか0.3℃ですので、活動していない起床直後に測定する必要があります。 起床して少しでも活動をしていると1℃くらい体温は上昇してしまうのでその0.3℃の違いを見ることができません。
「基礎体温がガタガタです。」という人が多いのですが、人間の平熱は毎日同じではないである程度ガタガタなのが当たり前なのです。 1日くらい高い日があるかもしれません。基礎体温を毎日測定するのは、たまたま高い日やたまたま低い日を平坦にならして平均的に見るためにです。 1日1日の体温を見るのではなく月全体で判断します。全体として低温期と高温期の二相に分かれていれば大丈夫です。細かいガタガタは気にする必要はありません。 よく基礎体温表の見本にあるようなきれいなグラフには実際にはまずなりません。
多くの体温表には36.7℃のところに赤線が描いてあります。この線より高い期間が高温期という意味ではありません。 基礎体温は全体を見て低いところと高いところと分かれているかが重要なのです。 平熱な低い人も高い人もいるの赤線より低いことを心配する必要はありません。
基礎体温は1日単位で判断出来る正確な検査ではありませんのでどこからが高温期でどこからが低温期かは正確には判断できません。 ましてや36.7の赤い線以上が高温期というわけではありません。 よく高温期が12日より短いと黄体機能不全と言われていますが、どこからどこまでが高温期なのか判断しにくいので、 黄体機能不全は黄体ホルモンの検査をおこなって判断しなければなりません。
睡眠中はゆっくり体温が下がっていきます。朝方の起床直前の下がりきった体温が基礎体温です。 基礎体温は黄体ホルモンによるわずか0.3℃の体温上昇をみるものです。 起床してノビをしたり、トイレに行くだけの活動でもすぐに体温は上昇します。起きてすぐに測らないといけないわけはそのためです。二度寝するなら一回目に起きた時に測定してからが良いと思います。
基礎体温表を見て二相に分かれていなくて排卵していないのでないか?と心配する患者さんが多いのですが、実際に不妊専門医が見てみると二相に分かれていると判断できることがほとんどです。 もともとある程度はガタガタになるので見方によっては二相に分かれていないように見えるからかもしれません。 基礎体温の判断は実は熟練が必要なので患者さんが自分で判断しても間違いがとても多く不安になることばかりです。はっきりしない時は不妊専門医を早めに受診することをお勧めします。
そもそも基礎体温は排卵日を予測出来るものではありません。 よく体温が下がったときが排卵日と言われていますが実際は体温が下がることはなく高温期の前なので下がっているように見えているだけです。 そもそもガタガタなグラフであるので排卵の時期はこの辺りということはわかってもピンポイントで排卵日がわかるわけではありません。
正確でないなら基礎体温は意味がないのではと思うかもしれません。 実際、基礎体温はクリニックを受診する前にはメリットはあります。診察を受けないでも排卵の有無の目安がわかります。特に生理不順の方はつけておくと良いでしょう。 正確な検査ではないので、クリニックに通って正確なエコーやホルモン検査などの検査をしている時は必ずつけなくてもよいかと考えます。
特に自分で毎日体温を気にして一喜一憂することがストレスで良くありません。 大事なことはいくら基礎体温をつけても妊娠しやすくなるわけではなく妊活の入り口みたいなものなのです。 専門医の判断で大きな問題が潜んでいることもあります。基礎体温がきれいでなくて妊娠を急ぐので有れば早めに不妊治療専門のクリニックを受診することをお勧めします。
排卵日は基礎体温では正確にはわかりません。市販の排卵検査薬では正確に排卵日を調べることができません。 間違った判断であえて妊娠しにくい時期に夫婦生活を持っているケースは意外と多いものです。 血液検査による迅速なホルモン検査と超音波を組み合わせて高精度に診断する必要があります。
当院は仕事をしながら治療する患者さんの支えとなるようなクリニックを目指していきます。
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