精液検査|不妊治療の池袋えざきレディースクリニック

精液検査

精液検査

精液検査
精液検査基準値
(A). 精液量1.5ml以上
(B). 精子濃度1500万/ml以上
(C). 運動率40%以上
(D). 総運動精子数(A×B×C)1560万以上

精液検査には多くの項目があります。代表的な項目がWHOの精液検査
は以下の項目となります。
(A) 精液量 (ml)
(B) 精子濃度 (万個/ml)
(C) 運動率 (%)
(D) 総運動精子数 (万個)  (A)×(B)×(C)

総合点で判断するので、いくつかの項目が基準より低くても心配することはありません。
1つ1つの項目は単独では意味を持たないので複合的に判断します。
例えば、運動率が多少低くても、液量や精子濃度が高ければその分は補えるので問題ありません。一つ一つの項目より総運動精子数のような総合的な数値の方が精子の状態の指標となります。

当院では、SMASというコンピュータによる精子運動解析システムを使用しています。従来行われてきた目算の精子カウントでなく自動的に精子の計測をすることが可能です。計測時間も数分間と短いため、目算よりはるかに早くに結果を出すことができます。
精子が運動している状態を撮影して精子の運動をモーションキャプチャーして運動速度や振幅数などを分析しています。SMASでは上記のWHOの項目に加えて精子運動速度や直進性など20項目以上の計測をすることが出来ます。詳細なデータが解析できるので、それにより体外受精の際の受精法などを調整することが可能となります。
ただし重要なのは上記の基本的な項目の値であり、それ以外はあくまでも補助的なものとして使用します。

※男性単独のSMAS検査のみの受診は行っておりません。当院で治療中のご夫婦に限ります。

精液検査には「正常値」はありません。その代わりに「WHOの基準値」というものがあります。
この基準値とは「世界の男性の95%はこの基準内にある」というものです。
不妊かどうかの判断の基準ではなく世の中の男性はこのくらいの精子がいるという基準でしかありません。誤解してはいけないのは基準より少ないから妊娠しにくいという意味ではないということです。実は不妊とは全く無関係の基準値です。
これを「正常値」と勘違いしている患者さんがとても多いのです。医師でもよく理解していない人がいるくらいです。
総運動精子数でさえも毎回大きく変動します。月によっては5~6倍の変動は普通に起こりますので1回の検査値が多少低いからといって気にする必要はありません。再検査も不要です。100分の1とか少ないのであれば不妊の原因と言えますが、一つの項目が基準値の半分くらいであればあまり問題となることはありません。
総運動精子数は基準値が1560万個となっています。これも妊娠出来るかの基準ではないのです。
目安としては総運動精子数1000万個未満の時はタイミング法での妊娠は厳しいと考えればよいでしょう。

逆に全ての項目が基準値を大幅に上回っているからといって、必ずしも男性側に問題がないわけではありません。
総運動精子数にしてもSMASでの詳細な分析にしても「見た目」での判断なので、受精能力があるかなど精子の質までは精液検査では分かりません。ましてやDNAが断片化しているかの程度などはSMASでも分かりません。
検査が基準値を上回っているからといって精子は問題ないと安心できるものでもありません。
妊娠した後にようやく「精子は問題なかった」と判明します。

精子はある程度あれば妊娠できます。多ければ多い程妊娠しやすくなるわけではありませんので数値を上げること自体は重要ではありません。

人工授精や体外受精での処置では精液の処理を行います。処理後の基準値はWHOの基準値とは異なります。また処理をすれば値が良くなるわけではありません。処理後の数値の判断は原精液のWHOの基準でなくそれぞれの処置による処理後の基準を用います。原精液の値が低くても、精液を処理することによって値が変わります。
結果の数値が低くても、値によっては人工授精、体外受精、顕微授精では妊娠が可能です。

人工授精や体外受精、顕微授精では原精液よりも処理後の結果が重要視されますので、原精液の結果は気にされなくて構いません。