人工授精
人工授精とは排卵に合わせて子宮の中に精子を注入する治療法です。「人工」と名前がついていますが、精子を子宮に撒くだけの治療方法です。
精子を子宮内に注入した後の妊娠過程は自然妊娠と全く同じなので、当然胎児への危険性はありません。人工授精の妊娠率はタイミング指導とほぼ同等です。
当院では精子を洗浄し濃縮した後に人工授精を行っています(精子洗浄濃縮人工授精)。細いチューブを用いて精子を子宮の中に注入しますので、通常痛みを感じることはほとんどありません。実施後はすぐに帰宅でき、特に日常生活に制限はありません。
精子が自力で子宮内に入っていける方(フーナーテスト良好)にとっては人工授精を行う意味がありません。
以前は体外受精を行う前にまず人工授精を行っていましたが、当院ではフーナーテストが良好であれば人工授精を行う必要がないと考えています。
人工授精の実施回数の目安は3回(~5回)までです。
当院では血液検査での高精度の排卵日予測で最適な日に人工授精を実施し、注入用カテーテルも工夫し、精子洗浄濃縮した高濃度の精子を子宮内に注入しています。
そのため、従来は5~6回行うことが標準的でしたが、当院で人工授精で妊娠できる方はほとんどが3回以内で妊娠できるようになりました。
4回目以降に妊娠する確率は2%未満ですので、3回程度の人工授精で妊娠しなかった場合はそれ以上の人工授精に拘らず体外受精など別の治療に移行したほうが良いでしょう。
ただし、年齢や不妊期間や精子の状態にもよりますので、医師と相談のうえ決定します。