良い受精卵が育たない方|不妊治療の池袋えざきレディースクリニック

良い受精卵が育たない方

良い受精卵が育たない方

良い受精卵が育たない方

体外受精で良い受精卵が得られないと治療に難渋することになります。

  • 採卵個数が少ない
  • 受精障害
  • 胚発育不良

良好な胚が得られないのはこうした3つの原因が挙げられます。

採卵してもすべての卵子が良い胚盤胞まで育つわけではありません。そのため採卵数が少ないと1つも胚移植できないことが起こります。体外受精で卵巣刺激を行い複数の卵子を採卵する理由はそこにあります。ただ採卵できる卵子の数が人によりある程度決まっているので普段0-1個しか採卵できない患者さんを10個採卵出来るようにすることはできません。 しかし1個しか出来ないからと必ずしも諦めなければならないわけではありません。

どうせ数が少ないから排卵誘発剤を使用しないで自然周期のみで固定してしまうことが多いのですが、人間の体は月によって状態が変わります。採卵数が少ない人でも複数個の卵子を採卵できる月があります。
採卵個数を毎月コンスタントに増やすことはできませんが、月によっては採卵数が数個増えることがあります。

採卵個数の目安としてAFC(胞状卵胞数)やAMH検査があります。当院では採卵周期には毎回AFCとAMH検査を行います。こうした検査と過去の治療経過を総合的に判断すると月に多少コンディションが良い月があります。
当院ではAMHは外注でなく院内で測定するので1時間以内にその場で結果確認が可能ですので、当日と前月、前々回のAMH値や卵巣の画像を比較して排卵誘発の方法などを分析します。コンディションが良く普段より多く取れそうな月には、やや強めの刺激の排卵誘発を試してみます。
ただAMH値など検査結果のみを注目しがちですがそうではなく大切なことは過去の治療1回1回を詳細に分析することにあります。「あー、今回はだめだった」で終わらせては過去の不成功が無駄になります。

また採卵個数が少なくなる原因に空砲の存在があります。卵胞を吸引しても卵子が入っていない卵胞を空胞と呼び、それにより卵胞が複数個育っているけれども採卵数は少なくなります。空胞という名前の通り卵子が入っていない卵胞もありますが、本当は卵子が入っているが未成熟なため採取できていない卵胞があります。未熟卵を回収できれば少し採卵数が増えることもあります。未熟卵は決して良い卵子ではないのですが採卵後に体外培養していると成熟卵になることもあります。もちろん成熟卵を多く採卵できるように採卵のタイミングは毎回同じにはしないで微調整してベストな時期に採卵していきます。
また卵胞を吸引するだけでなく卵胞内に生理食塩水を注入して吸引・注入を繰り返す「卵胞フラッシュ」を行うと回収し損ねた卵子を回収できるので多めに回収できることがあります。
このようにAMH値が低く採卵数が少ないことが予想される場合でも丁寧な対策を行うことにより改善の可能性が出てきます。普段1個しか採卵できない人が3個採卵できたとしたらその違いはとても大きいことになります。

採卵個数が少ないからと言って自然周期法のみに固定する必要はなく毎月臨機応変に誘発法を検討することが必要です。自然周期法、低刺激法をメインとしながらもチャンスを逃さないことが重要となります。

通常の受精率はだいたい80%くらいです。大幅に受精数が少ない場合や全く受精しないことを受精障害と言います。
受精しない原因の多くは自力では精子が卵子に侵入できないことです。これには顕微授精により精子を卵子に注入します。受精障害にはまず顕微授精を行うことで解決していきます。
精子が侵入すると精子により卵子が活性化され受精完了となりますが、この活性化が自力でうまくいかないため顕微授精でも受精が起こらないことがあります。その場合は卵子活性化を行う必要があります。当院では卵子活性化にカルシウムイオノファという薬剤を培養液に添加します。顕微授精とカルシウムイオノファの併用でほとんどの受精障害は解決出来ています。

受精しても途中で胚発生が停止してしまうと胚移植可能な胚が大幅に減ってしまいます。発育不良の原因は卵子の質が悪いことがほとんどです。
元々の質が悪いのを良くすることは残念ながらできません。ただし卵巣内の全ての卵子の質が悪いわけではないので、負担はかなり多くなりますが通常は繰り返しの採卵をすることや採卵個数を増やすことで解決していくことになります。

胚発育不良のもう一つの原因は、持っている卵子そのものは悪くないが排卵誘発の方法が合っていないために成長が悪くなっているという場合です。
これ関しては排卵誘発方法を見直すことで改善できる場合があります。その場合は思い付きで排卵誘発を変更してはならなく。これも採卵数の改善と同様に過去の排卵誘発を詳細に振り返ります。過去に行った全ての採卵の排卵誘発、胚発生を詳細に分析して変更する必要があると判断した場合のみ変更します。
排卵誘発の変更は自然周期法か刺激周期法のような単純で大まかな誘発法の変更ではなく、細かな調整となります。薬の日数や、注射の種類、回数の変更や、卵胞の成熟度に合わせての採卵日を修正します。
この微調整のために通常より通院の回数が増えたりすることがあります。排卵誘発期間の通院は大変ですが、胚発育不良の場合には丁寧に確認しながら排卵誘発の薬の量などを臨機応変にきめ細かく軌道修正していくことが重要となってきます。

培養環境の改善も一つの方法ですが、昔と違って今は市販の培養液の品質が安定し成分も良くなっているので、以前のように何かを添加することもなく、そのまま使用するようになっています。このように多くのことが半自動になっているのが現在の体外受精の培養技術です。体外受精は培養技術がカギで妊娠率に大きく影響していると言われた時代は10年以上昔の話です。

しかし良好な胚を培養するための努力は怠ってはいけません。劇的な効果は見られなくても少しでも培養環境を改善しなければなりません。多くのクリニックでは最新の機器と培養方法を導入して対応しています。

当院の培養成績