当院の治療成績(妊娠率)
日本産科婦人科学会のデータによる全国の施設の平均妊娠率とくらべて良好な結果となっています。
30代の患者さんでは約60%の妊娠率となります。
妊娠率は妊娠判定法や患者さんの背景などの条件が施設により異なりますので、妊娠率の数値のみで施設の優劣の単純比較は出来ない事にご注意ください。
不妊症の方の90%以上は現代の不妊治療で妊娠可能と私たちは考えています。
しかし、技術的には妊娠可能であるにも関わらず、一般的には60%くらいしか妊娠できていないのが現状です。
その原因は治療を途中で中断する方が30%以上もいるからです。
1回あたりの妊娠率に関心がいきがちですが、1回あたりで妊娠できるのは半分くらいです。
治療中断してしまう方の多さを考えると、治療を繰り返し継続できるかのほうが重要になります。
保険診療制度では39歳以下は6回まで、42歳以下は3回までの胚移植が保険適用となっています。
このような回数が設定されているのは数回の胚移植を行うことは当たり前であるということが前提であるからです。
グラフは当院で4回の胚移植を終了した時点での累積妊娠率となります。
80.1%の方が4回目までの胚移植で妊娠しています。
通常60%程度とされている累積妊娠率ですが当院では合計80%以上となっています。
注目すべきは4回の胚移植終了時に妊娠出来ていない人はわずか4.8%ということです。
グラフは4回目までの合計ですが、5回目以降でも妊娠する可能性はあります。
当院でこれだけの累積妊娠率となっているのは、治療を途中であきらめる方が圧倒的に少ないことによります。
こうした結果から、不妊の方が赤ちゃんを授かるには治療継続が重要と考えています。
現在、当院での治療中断率は15.1%と低く、高い妊娠率が得られていますが、以前は35%の治療中断率でした。
少しずつ減少し、将来的には10%を切る予定です。
累積した合計の妊娠率も90%弱までになると推測されます。
不妊治療では治療費用、通院、身体の負担、精神的なストレスなどが治療を続けることを難しくしています。
当院ではこうした負担の軽減に取り組み、治療中断率を改善させてきました。
通院回数を最小限とし、無駄を省いた診療で待ち時間を30分以内に短縮。
土曜日、平日朝から夜までの診療。
通院の負担を軽減し、仕事との両立を実現。
不要な検査などを減らし、保険適用内でもさらに治療費を抑えた診療。
妊娠率の高い治療を優先。
体外受精での採卵開始から妊娠までが平均101.7日と期間を短縮、長期戦による精神的負担を軽減。
これ以外にも採卵時の痛みや、周りの妊娠などからくる精神的負担などへの対策を行いました。
その結果として当院を受診した患者さんの80%以上が短期間に無事卒業することができるようになりました。
1回あたりの妊娠率の向上という一点だけにこだわるのではなく、負担を減らし精神的苦痛を軽減してきた結果であると考えています。
体外受精では採卵した卵子を体外で受精させて培養します。採卵した卵子がすべて順調に発育するわけではなく、受精しない卵子や成長しない卵子もあります。そのため質の良い受精卵を育てるための胚培養技術が必要となります。
ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)が2017年に体外受精の胚培養の国際基準を設定しました。
採卵率、受精率、胚盤胞到達率、着床率などの多くの項目につき基準値が設定されました。
これらの基準でクリニックの体外受精・胚培養のレベルを確認することを目的としています。
多数ある項目のうち一番重要であるとされている「胚盤胞到達率」についてグラフに示します。
胚盤胞到達率とは受精卵のうち胚盤胞まで成長できた胚の割合です。
クリアするべき基準40%以上
目標とする基準60%以上
当院の受精卵あたりの胚盤胞到達率は70.7%であり、必須の基準だけでなく目標基準をも大幅にクリアしています。
精子の数や運動率は顕微鏡を用いて測ります。SMASというコンピュータによる精子運動解析システムで精子を自動で追尾して追尾して精子の動きを分析しています。
SMASでは精子の数と運動率だけでなく運動速度や直進性など20以上の詳細な項目の計測をすることが出来ます。
SMASを用いて測定したデータをもとに体外受精の受精法を検討していきます。
※男性単独のSMAS検査のみの診療は行っておりません。当院で不妊治療中のご夫婦に限り実施しています。