卵子改善治療
不妊治療・体外受精を繰り返して行っても妊娠しない場合、着床側の因子もありますが受精卵の因子もあります。
卵子の質をよくすること、これは現在の不妊治療での一番の課題です。
体外受精で良い結果とならない場合でも卵巣内の卵子すべてが質の悪い卵子というわけではありません。
その中には良い卵子も含まれているはずです。
体外受精では卵巣内の良い卵子を排卵誘発の工夫で回収する必要があります。
発育する卵子を増やし、それらを取りこぼしなく回収することで採卵個数が増えます。
それにより回収した卵子に良い卵子が含まれる確率が上がります。
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多くの良い卵子を回収する治療として排卵誘発の前に薬剤を注入する方法が考案されています。
PRP(多血小板血漿)は、患者さん自身の血液から作られる血小板が豊富に含まれる血漿です。
この技術が不妊治療にも応用されるようになり、卵巣機能の改善や子宮内膜の再生を目的とした治療法として注目を集めています。
池袋えざきレディースクリニックではPRPをフリーズドライ化したPFC-FDを卵巣内に注入します。
PRP(PFC-FD)は患者さん自身の血液から作成しますが、準備に時間がかかること、自費診療でとても高額な費用がかかるというデメリットがあります。
G-CSFは、細胞増殖因子として働き、卵巣の組織再生を促進する可能性があります。
この治療法では、G-CSFを卵巣内に直接注入することで、卵巣の細胞修復を支援し、血流を改善して卵胞の成長をサポートします。
AMH低値の改善
胚盤胞到達率の上昇
排卵誘発あたりの妊娠率の上昇
採卵と同様にエコーで確認しながら卵巣内に薬剤を注入します。
短時間で終わるため麻酔は局所麻酔で十分で、静脈麻酔を行う必要はありません。
注入後は長時間の安静は不要です。
PFC-FD卵巣内注入法
300,000円
G-CSF卵巣内注入法
80,000円
卵巣内への薬剤注入法は、難治性不妊症に対する新しい選択肢として期待されています。
卵巣機能の低下や卵子の質の問題に悩む女性に対し、再生医療の一環として効果を発揮する可能性があります。
しかし、効果は個人差があり全ての患者さんに期待通りの結果が得られるわけではありません。
どちらの薬剤もまだ研究段階にあるため、治療を検討する際は、医師と十分に相談したうえで実施する必要があります。
カルシウムイオノフォア法は、卵子の活性化を誘導するために用いられる不妊治療のひとつです。
この方法は、顕微授精後に受精率が低い場合(受精障害)に適用されます。
当院ではカルシウムイオノファ法は受精障害に対する治療として保険診療で実施しています。
初期の胚の質の向上の効果もみられるとの報告もありますが、現在のところはまだ明らかではありません。
卵子は既に卵巣内に存在しているものなので、その一つ一つの質を改善することは難しいと考えられます。卵子の質を根本的に改善するための新しいアプローチとして、ミトコンドリア活性化療法が注目されています。卵子のエネルギー産生を担うミトコンドリアの機能を改善することで、細胞全体の健康を向上させることを目的としています。
ミトコンドリアのエネルギー代謝を促進する効果があるとされているコエンザイムQ10やピロロキノリンキノン(PQQ)などを摂取します。全く無効ではありませんが、劇的な効果は見られていないのが現状です。
また、一部の施設では、患者自身の健康なミトコンドリアを卵子に移植する技術も研究されています。
まだ研究段階で実用化されていませんが、卵子の質そのものを改善できる可能性のあるミトコンドリア活性化療法は有望な治療法とされています。
今後の研究と技術の進歩により、この分野はさらなる発展が期待されています。